書籍【社会派化粧品】掲載について思うこと

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「社会派化粧品」という考え方
この本に掲載される依頼が来た時、「ようやく化粧品をそのような観点で受け取れるようなる時代が来たんだ」と、素直に嬉しく思いました。まさに素材のこだわりや作り手の思いが商品に伝わり、環境に配慮し持続可能な社会を目指すという観点で作られる化粧品と「美」についての新しい定義だと思っています。「SDGsコスメ」とも言えると思います。

私(代表:黒木)は、この化粧品業界に入って24年経ちました。
西暦2001年以前、当時のキャッチコピーで最も多く使っていたのが、
「指定表示成分無添加!」というキーワードでした。
つまり、旧薬事法において特定102成分のみ商品に記載すれば、あとは書かなくてもよい、という化粧品のルールでしたので、全成分表示する義務がありませんでした。
そのような限られた情報のなかで、お客様が商品の安全性や安心を測る基準は詰まるところ「大手メーカーや有名ブランド」ということになります。当然、中小企業の名もなきメーカーは少しでも安全性をアピールするために、せめて特定指定原料102成分だけは入っていませんよ!とアピールするしかありませんでした。
もちろん、この時代は化粧品の使用原料にも厳しく制約があり、「化粧品原料規格基準」「化粧品配合規格基準」というガイドラインに基づいて厚生労働省に処方をチェックを受け許可されたものが化粧品として流通していました。
法改正後は「化粧品販売名」の届けだけでそれらの基準や責任はメーカーに一任されているという形に変わりました。

2001年に大幅に旧薬事法が改正され、ようやく「化粧品全成分表示の義務化」となりました。
そして、インターネットの普及とともに、明るみになった化粧品の原材料について多くの消費者が原料の安全性を疑うようになります。
当然、この動きはこれまで成分にこだわりを持って作られてきたメーカーにも追い風となりました。

しかしながら、全成分表示に改正されて、まだ20年しか経過していません。

最近では少しづつ消費者が化粧品の「裏面表記/成分表記」を気にするようになりましたが、まだまだそのような消費者は1/3もいらっしゃいません。

なぜでしょう・・・

おそらくは、表記を見たとしてもその成分の安全性や配合目的、などの意味がわからないし、非常にわかりにくいからではないでしょうか。
そして、紛らわしい表現によって何が真実なのかが巧妙にカモフラージュされているため余計に混乱して、考えるのを止めてしまっているからではないでしょうか?

たとえば、「植物性原料」と謳えばすべてが植物からできていると勘違いしてしまうような分かりづらい成分名。

たとえば、「オーガニックコスメ」と謳えば全て安全であるかのような表現。

たとえば、「石油系合成界面活性剤フリー」と謳えばあたかも「合成界面活性剤」が入っていないと勘違いする表現。

そして、オーガニック食品の認証制度に習い、ヨーロッパを中心としたオーガニックコスメの認証(ecothert,bioなど)団体の、曖昧で業界に都合がいい基準をあたかも安全であるかのような錯覚を起こすようなマーケティングなど。
私の考えは、化粧品に関しては、オーガニックorオーガニックでないの議論には全く意味がないと思っていて、むしろ、「ケミカルを使うか、使わないか、使うとしたら何%以下に留めるかがお肌にとっては最も重要」な議論であると考えているため、いつもこの議論では平行線。

その他、業界主導で消費者に分かりづらく業界に都合がいい表現の代表的な成分では、ベビーオイルやオイルクレンジングに使われている*「ミネラルオイル」という表示名称など。
これはミネラルを豊富に含んだオイルなのかと勘違いしますよね?
とんでもないです!
*ミネラルオイル=流動性パラフィン:石油から得られる常温で液体の炭化水素の混合物です。
テクスチャーこそホホバオイルに酷似してますが、値段はホホバの1/10以下。つけだしたらお肌の乾燥が止まらないので要注意原料です!

さらには、業界として「キャリーオーバー成分も含めて表記義務がある」ことを逆手に取って、ほとんど有効成分含有量を満たしていない「植物エキス」などを「点眼配合」→(業界用語でほんのちょっと、目薬を入れるぐらい配合して!という意味。)された、化粧品をあたかも数十種類の植物エキスが配合されてあなたのお肌を・・・!などの誇大広告。

などなど、、、例を挙げればキリがありません。
業界の闇があまりにも深く、いつもマグマのような憤りを感じています。

私は、これら化粧品業界の常識が本当に嫌になり、15年前から独自で「ナチュラルコスメの研究」を続けてきました。

私の考え方は至ってシンプル。

「お肌につけるものと、口に入れるものは原則として同じような素材でなければならない」です。

それは、お肌に塗ったものは「経皮吸収」されるから一部の原料は長期的に体に蓄積されるものとなります。
食べ物は肝臓で解毒されますが、お肌に入ったものは解毒される場所がありません。

そのためおかしな習慣ですが、毎回試作をするたびに、ペロッと舐めてみて「美味しい?」と感じるかどうか、「舌に刺激が無いか?」などを商品化の判断基準にもしています。

今回、社会派化粧品という書籍に掲載されるにあたり、日本の消費者の成熟度がかなり上がってきている時代背景を感じ、これからは更にしっかりとした商品を作らないと、成熟したお客様から見抜かれてしまう時代となってきたと感じております。

巷に溢れかえっている業界都合の「なんちゃってオーガニック、なんちゃって自然派化粧品」を消費者が見抜く時代がどんどん早く近づいてきました。

食品は「美味しい!」がヒットですが、化粧品はまだまだ「ブランドや認知度」が優先しています。

2018年度の国内の化粧品マーケットは、総額2兆5,000億円(化粧品工業会HPより)と言われており、そのうちの大手上位5社で2兆円を超えています!(もうすでにこの時点で勝負ありですね・・・)
その中で、ナチュラル/オーガニック化粧品市場に関してはわずか約1500億円。全体の5〜6%のシェアです。

つまり、私たちが行っている生産活動は、完全なマイノリティー。

色んな意味で、少数意見となり、メディアでも正確に捉えられません。

ところが、ナチュラルコスメ先進国のヨーロッパ、ドイツにおいては、すでにこの分野が全体の25%のシェアに拡大しているとのことです。

もちろん、日本も年々、この動きは加速しています。

そして、間もなく「こだわり原料、安心原料、お肌が気持ちいい!」がヒットに直結する時代が来ると思っています。

私にはちょとした野望があります。

それは、毎日の食卓を作るように、スキンケア商品も「手作りローション」や「手作りクリーム」の作り置き文化が定着して、必要なものは自然界から体内に取り入れるように、一般の方がスキンケアメイクのスキルが上がり、食材などのの知識が増えるようにハーブや食品からお肌にいいものを厳選できるように、だれでも安全で、自分のお肌にあった化粧品を手作りすることが習慣となるように、ワークシップや商品を通じて「自分のレシピ」「ボタニカノンのレシピ」をどんどん拡散して、
化粧品業界の「自然回帰革命」を起こしたいと考えています。

なぜなら、、、

化粧品(スキンケア)には、本質的に「ブランドは必要ない」ですから。

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